「第2期さいたま市教育振興基本計画」の要旨、および本市教育の「良いところ」と「課題点」について、資料に基づきまとめます。
1. 計画の要旨(基本理念・目指す姿)
本計画は、2019年度から2028年度までの10年間を期間とし、「人生100年時代を豊かに生きる『未来を拓くさいたま教育』の推進」を基本理念として掲げています。
本市が目指す人間像は、「世界と向き合い 未来の創り手として 輝き続ける人」です。この実現に向け、アクションプランでは「Grit(やり抜く力)」「Global(国際社会で活躍できる力)」「Growth(生涯学び続ける力)」という「3つのG」を重点事項に据えています。
具体的な施策は、以下の5つの基本的方向性に沿って展開されています。
1. 12年間の学びの連続性を生かした「真の学力」の育成
2. グローバル社会で活躍できる豊かな人間性と健やかな体の育成
3. 人生100年時代を輝き続ける力の育成
4. スクール・コミュニティによる連携・協働の充実
5. 「未来を拓くさいたま教育」推進のための基盤整備
2. さいたま市教育の「良いところ」(強み・成果)
本市の教育は、全国的にも高い水準を維持している項目が多く、独自の先進的な取組が成果を上げています。
• 全国トップレベルの学力: 全国学力・学習状況調査において、平成19年度の調査開始以来、小・中学校ともに全教科で全国平均を上回る良好な結果を維持しています。
• 高い自己肯定感と意欲: 「自分には、よいところがあると思う」「難しいことでも失敗を恐れないで挑戦している」と回答する児童生徒の割合が全国平均を大きく上回っており、子どもたちの内面的な成長が顕著です。
• 「さいたま市ならでは」の特色ある教育: 政令指定都市で唯一、全校で自校方式の学校給食を提供し食育を推進しているほか、独自の英語教育「グローバル・スタディ」を展開しています。また、図書館の数は政令指定都市で最多であり、市民1人当たりの貸出数も1位を誇ります。
• 地域との強固な連携: 「さいたまチャレンジスクール」を全校で実施し、地域ぐるみで子どもの学びを支える体制が構築されています。また、スクールカウンセラー等の全校配置により、組織的な教育相談体制も整備されています。
3. さいたま市教育の「課題点」
一方で、社会情勢の変化や子どもたちの心身の状況に応じた新たな課題も浮き彫りになっています。
• 複雑化する生徒指導上の諸課題: 不登校児童生徒数が増加傾向にあり、いじめ問題を背景とした自死事案の発生など、深刻な課題に直面しています。子どもたちが自らSOSを出せるスキルの育成や、より組織的な対応が求められています。
• 小学校の体力低下: 小学生の男女ともに、体力の合計点が全国平均を下回る傾向にあり、運動習慣の確立が急務となっています。
• 表現力・記述力の育成: 自分の考えを説明したり文章を書いたりすることを難しいと感じる児童生徒が小学校で約5割、中学校で約6割存在し、依然として指導の改善が必要です。
• 教育環境への満足度と教職員の負担: 教育施策に関する調査では、「行政による教育環境の整備」への評価が三者(保護者・校長・教職員)ともに全項目中で最も低くなっています。また、教職員の多忙化解消や職務に専念できる体制の整備が特に重要な課題として認識されています。
• 地域連携の質の転換: 地域からの一方向の支援にとどまらず、学校と地域が双方向のパートナーシップを築く「地域学校協働活動」への深化が求められています。
--------------------------------------------------------------------------------
理解を助けるための比喩:
さいたま市の教育は、最新の設備と豊かな土壌を備えた「先進的な大農園」のようなものです。「学力」や「自己肯定感」という質の高い実(成果)が全国トップレベルで実っていますが、一方で「不登校」や「体力低下」という「一部の苗の病気(課題)」も発生しています。この計画は、ICTや3つのGという「新しい農法」を取り入れ、地域という「サポーター」全員で支え直すことで、すべての苗が人生100年という長い年月を輝き続けられるようにするための、都市型教育の再生戦略といえます。
参照:さいたま市教育振興基本計画
教採の相談は、教採塾へ!
