「第4期埼玉県教育振興基本計画(2024年度~2028年度)」は、国の第4期教育振興基本計画や県政運営の基本指針である「埼玉県5か年計画」を参酌して策定されました。本計画は、SDGsの達成年限である2030年や、高齢者人口がピークとなる2040年を見据えた中長期的な視点に立っています。
以下に、本計画の要旨、埼玉県教育の「良いところ(強み・成果)」、および「課題点」をまとめます。
1. 計画の要旨(基本理念と視点)
本計画は、「豊かな学びで 未来を拓(ひら)く埼玉教育」を基本理念としています。これは、生涯を通じた多様で深い学び(豊かな学び)によって、県民の誰もが人生や社会の未来を切り拓く力を育むことを目指すものです。
計画全体に共通する視点として、以下の2点を新たに設定しています。
• 誰一人取り残されない共生社会の実現に向けた教育の推進: 多様性を尊重し、全ての人の可能性を引き出す社会的包摂の実現を目指します。
• 教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進: ICTを活用して一人一人のニーズに応じた教育環境を整備し、学びの変革と校務効率化を図ります。
これらを踏まえ、「確かな学力の育成」「豊かな心の育成」「質の高い学校教育を推進するための環境の充実」など、10の目標を掲げています。
2. 本県教育の「良いところ」(強みと成果)
第3期計画までの取組を通じて、独自の調査手法や環境整備において着実な成果を上げています。
• 「埼玉県学力・学習状況調査」による独自の分析: 本県では、単に現在の学力を測るだけでなく、「学力の伸び」を把握できる独自の調査を継続しています。これにより、児童生徒一人一人の成長やつまずきを詳細に把握し、個に応じた指導へつなげています。
• 先進的な学習手法の推進: 生徒同士が話し合い、理解を深め合う**「協調学習(協調的な学び)」**に積極的に取り組んでおり、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が進んでいます。
• ICT環境の飛躍的進展: GIGAスクール構想により1人1台端末が整備されたほか、県立高等学校の**普通教室における無線LAN利用率は100%**に達しており、デジタル技術を活用した多様な学びの基盤が整っています。
• コミュニティ・スクールの普及: 学校・家庭・地域が目標を共有する「コミュニティ・スクール」の導入校数が大きく伸びており(令和4年度で772校)、地域と連携・協働した教育体制の構築が進んでいます。
3. 本県教育の「課題点」
社会状況の変化や、近年の子供たちの心身の状況に懸念される課題も浮き彫りになっています。
• 学力・体力の低下と意欲の減退: 全国学力・学習状況調査において全国平均を下回る教科が見られるほか、体力テストの結果も近年大幅に下降しています。また、コロナ禍での活動制限などの影響により、将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合が低下していることが懸念されています。
• 不登校児童生徒の急増: 小・中学校における不登校児童生徒数は令和3年度に初めて1万人を超え、過去最多を更新しています。特に低年齢化が進んでおり、アウトリーチ型支援や多様な学びの場の確保が急務です。
• 教職員の多忙化と人財確保: 月80時間を超える時間外勤務を行う教員が一定数存在しており、健康確保と子供に向き合う時間の確保が課題です。また、採用試験の志願者数減少に伴う教員不足への対応も必要です。
• 教育的ニーズの多様化への対応: 外国人児童生徒の増加、ヤングケアラーの顕在化、LGBTQへの配慮など、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援体制の構築が求められています。
• 不祥事の根絶: 教職員による不祥事は教育への信頼を損なうものであり、倫理観の向上と不祥事ゼロに向けた徹底した取組が必要です。
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理解を助けるための比喩: 埼玉県の教育は、長年培ってきた「学力を伸ばすための精密な地図(独自調査)」と、最新の「デジタルという翼(ICT)」を持っています。しかし、現在は「不登校」や「体力の低下」という険しい山々に直面しており、登る側の教職員も疲弊している状況です。この計画は、ICTという装備を賢く使い、地域という心強いサポーター全員で子供たちを支え直すことで、誰もが「未来という頂上」へ自分らしく辿り着けるようにするための新しい「登山ガイド」といえます。
参照:埼玉県教育振興基本計画
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