「第7次山形県教育振興計画」は、社会経済情勢の劇的な変化や国の教育政策の動向を踏まえ、2025(令和7)年度から2029(令和11)年度までの5年間を対象とした本県教育の指針です。本計画では、「ウェルビーイングを目指し、多様性あふれる持続可能な社会の実現を担う山形の人づくり」を基本目標に掲げています。
以下に、これまでの成果から見える「良いところ」と、今後克服すべき「課題点」を中心に要旨をまとめます。
1. 本県教育の「良いところ」(強みと成果)
前計画(第6次計画)の取組を通じて、本県独自の教育基盤や児童生徒の意識において着実な成果が上がっています。
• 探究型学習の浸透: 全ての県立高校で探究型学習が展開されており、地域課題の解決に向けた学習に取り組む高校の割合は、令和元年度の65.4%から令和5年度には94.2%まで大幅に伸長しました。
• 高い自己肯定感と郷土愛: 児童生徒の「自分には良いところがある」「将来の夢や目標を持っている」といった自己肯定感や意欲に関する指標は、全国平均と同程度か上回る水準にあります。また、「地域や社会をよくするために何かしてみたい」と考える割合も全国平均より高く、強い郷土愛が育まれています。
• 確かな進路実績と定着: 就職を希望する高校生の就職率は100%近くを維持しており、そのうち約8割が県内就職を決めるなど、地域産業を支える人材の育成と還流が進んでいます。
• 望ましい生活習慣と体力: 毎日朝食を摂る児童生徒の割合は全国平均を上回っており、基本的な生活習慣が確立されています。体力面でも、新体力テストの合計点は全国平均と比較して高い水準を維持しています。
• 特別支援教育の質の高さ: 特別支援学校における教諭免許状保有率は全国でも高い水準にあり、一人一人の特性に応じた指導体制が整っています。
2. 本県教育の「課題点」
変化の激しい時代に対応するため、学力や教育環境の維持において深刻な課題も浮き彫りになっています。
• 学力面での全国平均との差: 小学校の国語・算数、中学校の数学において、全国平均正答率を下回る傾向が続いており、特に全国との差が広がりつつある点が大きな懸念材料です。
• いじめの認知件数と不登校の増加: いじめの認知件数は高止まりしており、1,000人あたりの認知件数は全国平均を大きく上回っています。不登校児童生徒数も増加傾向にあり、特に高校においては全国平均を上回る出現率となっています。
• 深刻な教員志願者の減少: 小学校の教員採用試験の志願倍率が平成25年度の5.2倍から令和6年度には1.3倍に低下するなど、教員確保が極めて困難な状況にあります。
• ICT活用の日常化: 教員のICT活用能力は全国水準にあるものの、授業での活用頻度は全国平均より低い状況です,。1人1台端末の「利活用の日常化」が今後の大きな課題です。
• 人口減少に伴う学校の小規模化: 児童生徒数は1955年のピーク時から約71%減少しており、今後もさらなる減少と統廃合が進む見込みです。これにより、集団の中で切磋琢磨する機会や学校の活力をいかに維持するかが問われています。
3. 今後の戦略:3つの方針
本計画では、これらの課題解決に向け、以下の3つの方針を柱としています。
1. 方針Ⅰ: 一人一人が自分らしく可能性にチャレンジできる学びの実現(学力・キャリア・グローバル)
2. 方針Ⅱ: 誰一人取り残されず、誰もが続けられる学びの機会の充実(特別支援・不登校・生涯学習)
3. 方針Ⅲ: 社会の変化に対応した学びの環境整備(教育DX・働き方改革・地域連携)
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理解を助けるための比喩: 山形の教育は、「鳥海山や月山のような豊かな恵み(地域資源と郷土愛)」を土台にした登山のようなものです。多くの登山者(子どもたち)が高い志を持って登り始めていますが、途中で「学力の壁」や「不登校の霧」といった「険しい道(課題)」に直面しています。この計画は、ICTという最新の「登山用GPS(DX)」を配備し、地域住民という「強力なガイド(地域連携)」が支えることで、誰一人取り残されることなく、自分らしい「山頂の景色(ウェルビーイング)」に到達できるようにするための新しいルートマップといえます。
参照:山形県教育振興基本計画
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